(……ん)
ぱちりと目が覚める。
隣にティファの体温を感じながら。
(……ん?)
それからすぐ、時計を見て気付く。
自分たちが、寝坊していることに。
(……大変だ)
ティファを、起こさないと。
「…ティファ」
「……」
「……ティファ」
「ん……」
「…ティファ、起きて」
「……ん、……」
「……ティファ」
「? んん……」
「……」
「……」
「…ティファ」
「……。……クラウド」
「…ああ」
何度か呼んだあと、ようやく
寝ぼけ眼を見せてくれるティファ。
前髪を避けてやれば、ふわりと笑った。
「ふふ……クラウド」
「…おはよう、ティファ」
「おはよ……。ふふ、」
「ん?」
「……久しぶりだと思って」
「…久しぶり?」
「うん……クラウドに起こしてもらうの」
「…確かに。大抵、ティファの方が早起きだ」
「そう……、恥ずかしいからね」
「恥ずかしい? 何が」
「…ねがお、見られるの」
「もう、何度も見せてもらってるぞ」
「ん……そうだけど」
「…まさか、それで俺より早く起きてるのか?」
「……早起きする、理由の一つ」
「…なかなか朝、ティファの寝顔が見れないわけだ」
「だって……よだれとか、出てたら嫌だし」
「出ていてもかわいい」
「もー……」
(……。寝坊)
ティファにキスを贈りながら、
ぼんやり頭で、考える。
(…言わないと)
「……。なあ、ティファ」
「…なあに?」
「……」
「……クラウド?」
「…いや、何でもない」
「ん……? うそ、何かあるでしょ」
「…ティファがかわいくて、忘れた」
「も、もう……なあに? 褒めても何も出ないよ」
「…褒めたら、ティファが笑ってくれる」
「……笑顔でいいなら、いくらでもどうぞ」
「くれるのか?」
「うん……クラウドにはサービス」
「…ティファ」
あまりの愛おしさに、
食べてしまいたい衝動を抑え、
ティファの顔にキスの雨を降らせる。
提案通りの笑顔を、たくさん貰いながら。
(……。……言わないと、寝坊)
「……ティファ」
「ふふ、くすぐったいよ」
「ん……」
「朝から機嫌がいいね、クラウド」
「……。ティファが可愛、」
「は、はい。それはもう通用しません」
「…その割には、嬉しそうに見える」
「気のせいじゃないかな?」
「…へえ」
「……。…降参」
「ふ……まだ何も言ってない」
「だ、だって……クラウド、強そうだもん」
「何が?」
「…心理戦」
「……ティファは優しいからな」
「ふふふ、何のフォロー?」
「……」
(……まずい)
この時間、俺には終わらせられそうにない。
「ティファ……」
「ふふ、うん、クラウド」
「…ティファ」
「……あ」
「…ん?」
「ね、今何時だろう」
「……、……」
「…クラウド?」
(……だめか)
ふいにやってきた、限界の時間。
気持ちのほとんどを、ごめんで満たしながら、
俺はティファの目をじっと見つめる。
「……ティファ」
「え?」
「…すまない。心して聞いてくれ」
「……へ?」
「……。今の時間は、」
にこにこ、としてくれていたティファから
にこにこが消えるまで、ほんの三秒。
俺は、反省半分、幸福半分の気持ちで
ティファと共に飛び起きた。
過ごした時間には、
一ミリの後悔も、残さないまま。
easy on.
fin,