「失礼しまーす」

「……うん」

「……、ふうー……いいお湯加減」

「…そうか」

「…あれ、クラウドにはちょっと熱すぎる?」

「いや、大丈夫だ。問題ない」

「そう? ……背中、預けてもいい?」

「うん」

「失礼しまーす……。ふう」

「……」

「やっぱりお風呂、いいねぇ」

「…そうだな」

「でも、珍しいね」

「ん?」

「クラウドのほうから、湯船に浸かりたいって言うなんて」

「…そうか?」

「うん。疲れ、溜まってた?」

「……そうかもな」

「それなら、やっぱり私がいないほうが、くつろげたと思うけど」

「それは違う」

「ふふ、早い」

「…ティファはその、……癒しだ」

「癒し? ……な、なんか照れるよ」

「やましい意味じゃない。一応言っておくが」

「あはは、本当に?」

「…うん。今のところは」

「あ、ずるい」

「……。とにかく、ティファにいて貰わないと困る」

「私は別にいいんだけど……お風呂、好きだし」

「…もっと力抜いていい」

「え、重いよ?」

「平気だ」

「…じゃあ、お言葉に甘えて」

「……」

「……」

「……」

「…クラウド」

「ん?」

「髪の毛、ぺたんこになってる」

「? ああ……濡れるとな」

「なんだか雰囲気、違うね」

「…変か?」

「ううん、いい感じ。かっこいい」

「……。そうか」

(…照れた)

「…ティファも、少し雰囲気が違う」

「え? そうかな。どんなふうに違う?」

「……その」

「?」

「……。…やっぱりやめておく」

「ええ、気になるよ。そんなに変?」

「違う。その逆だ」

「……」

「……。お、……大人っぽい」

「大人っぽい? ……あ、髪結ってるからかな」

「…そうかもしれない」

「…大人っぽいのは、好き?」

「……。…好きだ」

「ふふふ、」

「…笑うところじゃない」

「ふふ、ごめん。思い出しちゃって」

「?」

「スラムで、ほら。クラウド同じこと言ってたなって」

「……ああ。おしゃれ……」

「そう。うんと、おしゃれしようとしたときの」

「…懐かしいな」

「そうだね、懐かしいね。思えばあれから色々あったなあ」

「…再会のお祝い、をするまで、こんなに時間がかかるとは思わなかった」

「うん、本当にそう」

「……ティファは頑張った」

「クラウドもだよ。みんな頑張ったよね」

「…ああ」

「…はあ、でも不思議な感じ」

「何が?」

「あの頃は、こうやってクラウドとお風呂に入るなんて、想像もできなかった」

「…それは、俺もそうだ」

「ね、変な感じするよね」

「……、ではあった」

「ん?」

「…夢ではあった」

「え? ……え、え?」

「…この話はもうやめよう」

「クラウドさん、どういうことでしょうか」

「…ティファ」

「ふふふ、」

「……。わかるだろ」

「……、…うん」

「……」

「……」

「……」

「……? ね、クラウド」

「ん……?」

「なんだか、体熱くない? 大丈夫?」

「…大丈夫だ。のぼせてるわけじゃない」

「……?」

「……。…ティファ」

「なに?」

「…バレットたちはもう、寝てたよな」

「うん。お湯がたまる前にはもう、子ども部屋からバレットのいびきが聞こえてた」

「…そうか。よかった」

「どうして?」

「……。……」

「? ……、あ」

「……」

「く、クラウド、」

「…うん」

「うん、じゃなくって……い、いつから……?」

「…かなり前」

「ええ? ど、どうしよう」

「…………」

「…こ、ここじゃだめだよ? 流石に」

「…この状態で、寝室まで無事に戻る自信がない」

「も、戻れるよきっと! 手伝うから」

「……」

「頑張ろう? 私、なんでもするよ」

「……。ティファ、やめてくれ」

「へ?」

「言葉の一つ一つが、刺さる……」

「? ご、ごめんね?」

「……」

「え、えーっと……」

「……」

「…その……できること、する?」

「! ……。頼む」

「た、頼まれました。が、頑張ろう」

「……。頑張ろう」

「ふふ、」

 

 

 

 

 

シャボン玉は割れない

 

 

 

 


fin,