おやすみの前
きみとふたり
ご褒美な時間に
「なあ、ティファ」
「ん?」
「聞いてもいいか」
「うん。どうぞ」
「…今日、作ってくれた料理、うまかった。ああいうのはどうやって覚えるんだ?」
「え? ありがとう! 難しい料理だったから、嬉しい」
「そうなのか」
「そうだよ。昔食べたことがあっただけなんだけど、どうしても作れるようになりたくて。だけど、そのお店にはもう作り方を聞きに行けないから、再現するまで時間がかかったの」
「…ミッドガルにあった店なのか?」
「うん、そうだよ」
「…いつ食べたんだ?」
「うんと、スラムで暮らし始めてから、何年か経った頃かなあ」
「俺が、ティファと会う前か」
「うん。そう」
「誰と行ったんだ?」
「ジェシー。ときどきね、美味しいもの食べに連れ出してくれたんだ」
「…そうか」
「ほら……知っての通り、あんまり普段、贅沢できなかったから、嬉しかったんだ。二人でちょっぴり背伸びして、街にでかけるのが」
「…よく出かけていたのか?」
「ほんとに時々、ね。ジェシーの……というか、アバランチの作戦が落ち着いたときとか」
「……大変だったんだな」
「へへ……私はそんな、だよ。みんなは忙しそうだったけど」
「…ティファも頑張ったんだろ。……俺は、全然知らなかったけど」
「クラウドはクラウドで、大変だったもの。仕方ないよ」
「……。ティファ」
「ん?」
「…もう、眠いか? もう少し、話していいか」
「うん。まだ眠くないから、だいじょうぶ」
「…そうか。……あのさ、ティファ」
「うん」
「…ティファは、マルを飼っていただろ。猫の方が好きなのか?」
「あ、それは、ワンちゃんよりってこと?」
「うん」
「ああ、考えたことなかったなあ。どっちのほうが好き、とか。クラウドは?」
「ん?」
「クラウドは、どっち派?」
「…ティファと同じでいい」
「あはは、何それ。まだ私、答えてませんけど」
「…俺も、ちゃんと考えたことはない」
「ふふ。クラウドは猫ちゃん派かなあ、って思ってた」
「どうして?」
「ん? なんとなく……。猫ちゃんとのほうが気が合いそう」
「…それは、そうかもしれない」
「だけど、クラウドはみんなに好かれるからなあ。ワンちゃんとも仲良くなれるよ」
「ティファこそ」
「私は、そうでもないよ。顔に出さないだけで、結構好き嫌い、あるし」
「そうなのか?」
「うん。それは、クラウドもよくご存知だと思いますが」
「…まあな」
「ふふふ」
「…そういえば、カニの料理はまだ見てない」
「あ、気づいた?」
「この間、仕入れのとき、断ってただろ。カニが安いって言われていたのに」
「わ。見られてた」
「…マリンたちにバレるのも時間の問題だな」
「だって……味見、したくないもの」
「呼んでくれたら、俺がする」
「あれ? クラウドも、嫌いじゃなかったっけ」
「ティファほどじゃない。だから、力になれる」
「ふふ、頼もしいですなあ」
「何でも頼ってくれ」
「じゃあ……もう少し笑顔で、接客してくれたらありがたいんだけど」
「……。……善処しよう」
「あはは、声、小さい」
「……。…なあ、ティファ」
「なあに」
「……いや、やっぱりいい」
「ん? まだ眠くないから、いいよ」
「…ううん。いいんだ。また明日にしよう」
「? クラウドがいいなら、いいけど」
「……もったいないから」
「え?」
「一度に色々聞いてしまうのは、もったいない」
「……私のこと?」
「…うん」
「…そんなにたくさん、質問があるの?」
「…ある」
「ええ? ふふふ……」
「…ティファが想像しているよりも、あるぞ」
「どうしよう。全部に答えられるかなあ」
「大丈夫だ。難しい質問はないと思う」
「ふふ、じゃあ、私でよければ、お答えします」
「…ありがとう、ティファ」
「どういたしまして。……でも、いいのに」
「?」
「もっと気軽に、いつでも聞いてくれていいのに」
「…そういうわけにはいかない」
「どうして?」
「…たまるんだ。勝手に。ティファと一緒にいないときにも。仕事中とか、移動中とか。そういうときにも、思いつくから」
「…な、なんだか恥ずかしい」
「どうして」
「…そんなに考えてくれてるんだなって、思うと」
「…当たり前だ。俺を誰だと思ってる」
「ふふふ、自信満々になるところじゃないよ」
「……。ティファはまだ、俺のことをわかってない」
「…じゃあ、教えてくれる?」
「……途中棄権はなしだからな」
「ふふ、うん。受けてたちます」
ボーナス・タイム
fin,