今日は、家族記念日。

マリンの号令のもと、私たちの関係が「仲間」から「家族」に形を変えた日。

 

 

 

 

「ふふ……それでね」

「うん」

「マリンが、自分ひとりでケーキを焼くんだって言って、聞かなくて」

「…それが、あのケーキか」

「そう。結構おいしかったよね」

「ああ。バレットが知ったら、嫉妬で怒り狂うに違いない」

「あはは、そうだね。オレにも食わせろー!って」

「ふ……。なあ、ティファ」

「ん?」

「子どもの成長って早いんだな」

「そうだね。大人の私たちより、うんと早い」

「…うん。……去年の今頃、マリンはまだキッチンに一人で立つことすら、危なそうに見えた」

「ふふ……うん。覚えてるよ。クラウドがハラハラしながら、包丁を持とうとするマリンを見てたの」

「あのときは気が気じゃなかった……」

「それが今や、マリン、クラウドより料理が上手かも」

「…否定できない」

「あはは」

「……。……」

「……? クラウド?」

「……ん?」

「どうしたの? 急に黙り込んで」

「あ……。すまない。特に理由はない。……つい、感慨深くなっていた」

「何に?」

「…ティファと、家族になったことに」

「ふふ……今更ですか?」

「…正確に言えば、今が初めてじゃない」

「へへ……うん。私もだよ。特に今日は、意識してた」

「…ティファも?」

「うん。忘れられないから。あの日マリンが突然、家族なんだって言い始めたときのこと」

「……」

「びっくりしたけど……やっぱり、嬉しさとか、ほっとする気持ちとか、そっちの方が大きかったなって」

「…うん」

「……クラウドは?」

「ん?」

「…クラウドは……よかった? その……あのとき、家族になれて」

「よかったに決まってる」

「そう? なら、よかった」

「…どうして?」

「え?」

「どうしてそんなことを訊く」

「あ……その、家族になったのって、突然だったじゃない」

「…うん」

「だから、クラウドはどう思ってるんだろうって……最初の頃はずっと気にしてた。今は、そんなこと不安に思ったりしないけどね」

「……。確かに、あのときは驚いた」

「うん」

「…でも、嬉しかったよ。どんな形であれ……ティファと、繋がりを持てることが」

「…クラウド」

「もちろん……思っていた流れではなかったが」

「思っていた流れ?」

「……。昔のことだ」

「…んん? 気になりますな」

「……。……その、本当はだな。きちんと……申し込んだりとか」

「申し込む? 誰に?」

「…ティファにだよ」

「……? …………あ」

「……わかったか?」

「た……多分」

「…ならいいんだ」

「……。……」

「……」

「……ねえ、クラウド?」

「うん?」

「……その、別に、いいんだよ?」

「……?」

「も……申し込み。……今からでも」

「え、」

「い……いやなら、いいんだけど……」

「……まだ」

「?」

「まだ、間に合うか?」

「……、はい」

「そうか……、ならまず、場所を決めたい」

「場所?」

「うん。あと、いつにするか……夜がいいのか? ちょっと、考えさせてくれ」

「…クラウド?」

「ん?」

「…もしかして……申し込む、タイミングの話?」

「? ああ」

「ふふ、」

「ティファ?」

「ううん、ごめん。クラウドって、ロマンチックだよね」

「そうか?」

「うん。ニブルヘイムでも……ゴールドソーサーでも……。それに……」

「?」

「…あ、ご、ごめん、なんでもない。……楽しみにしてて、いい?」

「…ああ」

「ふふふ……ありがと、クラウド」

「…俺の台詞だ」

 

 

 

この手をどうぞ

 

 

(…本当は一度、申し込んだことがあるんだが)

(え?)

 

(なんでもない)

 


fin,