ティファに土産を買って帰るのが、出張帰りの恒例になってきた。
「あ!」
眠るためベッドに入る、少し前。寝室でティファに小包を差し出す。
ぱっと笑顔になってくれたティファが、目線で俺に開封していいかを尋ねる。頷き返した途端いそいそと開けられていく包装紙。何を買ってきたか告げないようにしているのは、ちょっとした悪戯心から。
「わ、チョコボ?」
今夜、ティファの手のひらの上に乗ったのは、たまたま出店で見つけた木彫りの置物だった。丁寧に彫られ、黄色で色付けされたそれは、俺たちのよく知る生き物をモチーフにして作られたもの。
「かわいい……!」
ティファがたまに、チョコボやモンスターをモチーフにしたものを、好んで身につけているのは知っていた。だからこういうものも好きかもしれないと思って選んでみたが、どうやら間違いではなかったらしい。ティファが目の前で見せてくれる、いつもよりきらきらとする綺麗な瞳。そして何より、ずっと見たかった笑顔。
ティファに土産を買って帰るのが、出張帰りの恒例になってきた。土産を選ぶ時間を、必ず確保するようになった。
ティファが喜んでくれる。ティファが笑ってくれる。それだけを想像して。その時間のためだけに。
「ふふふ」
「…ん?」
「何だかこの子、ピコに似てるかも」
「…そうか?」
「うん。この、後ろ姿が」
「……確かに」
「ね、かわいいねぇ。クラウド、ありがとう」
「ああ」
「最近いつも、お土産もらっちゃってる気がする」
「気にするな。時間があるときに買っているだけだから」
「そう? 無理はしないでね」
「大丈夫だ。また何かあったら買ってくる」
「ふふ、お言葉に甘えて、期待しちゃおうかな」
「応えてみせるさ」
「あはは」
おかしそうに笑うティファ。ふいうちでその頬に口付ければ、ティファはそれを、そろそろベッドに入る合図だと認識してくれる。
両目を閉じて待ってくれる大切な人に丁寧に口付けながら、俺はティファの細い指から置物を抜き取った。役目は交代だと。ティファを笑顔にさせる役目は、今度は俺自身が引き継ぐから。
「……。クラウド」
「……ん?」
「ううん。今日も無事に帰ってきてくれてありがとう」
「…ティファが待っていてくれるからな」
「待ったかいが、ありましたなぁ」
「…そんなにチョコボが好きだったか?」
「ふふふ、うん、まあね」
嬉しそうに笑うティファをつれて、俺はベッドに入る。温もりを共有するために。一緒に夢を見るために。
肌を重ねて、眠りにつくまで、ティファは握った俺の手を離さなかった。ずっとずっと大切に、握っていてくれた。
スーベニア
(この世界で、たったひとり)
fin,