気づけば朝から、クラウドの機嫌がいい。今朝は目覚めが悪くて、しばらくうとうとしていたこともあり、私にはその理由がわからないでいる。
未だにぼうっとする頭。身につけているのは、下着と、まだ寝ぼけていたときにクラウドが着せてくれたTシャツだけ。
その状態でベッドに腰掛ける私を、クラウドは同じくベッドの上で嬉しそうに見つめている。見つめているというより、観察しているという表現の方が正しいかもしれない。笑顔までは見えないものの、目がキラキラとしているのがわかるから。
「…クラウド?」
「ん?」
「朝から、嬉しそうだね」
「…うん、まあ」
「何かあった……?」
「…そうだな」
目をこすりながらクラウドに尋ねる。どうやら、心ここにあらずみたいだ。クラウドは私を見ていて、私もクラウドを見ているのに、いまいち焦点が合わない。
(…うーん?)
もしかして、私の容姿に何かおかしなところがあるのだろうか。クラウドは、頬に枕のあとがついていても、変な寝癖がついていても教えてくれないときがある。そしてそういうときは大抵、今日のようにニヤニヤとしている。意地悪なのか、愛情なのか。怒ったとしても、「可愛かったから」という言い訳で毎度誤魔化されてしまう、私も私だけれど。
「…クラウド」
「……どうした?」
「私の顔に、何かついてる?」
「…いや? 綺麗だ」
「そ、そう……」
「その服も……にあってる」
「服?」
(ん?)
何とも穏やかな表情で誉めてくれるクラウドに、なんだか嫌な予感がした。慌てて確認する自分の格好。さっきクラウドに着せてもらったTシャツ。無地で真っ白で、汚れひとつないそれは、特に変わったところはない。いつもと違う部分があるとすれば、普段より少し大きく感じるサイズくらいだ。……サイズが、大きい?
「……あ!」
「……」
「これ、クラウドの……」
「……。うん」
「…その顔。確信犯でしょ」
「…出来心で、つい」
「もう、変なことして」
なんだか恥ずかしくなって、照れ隠しにクラウドに枕を投げる。クラウドはそれを思い切り顔で受け止めていたけれど、それでもまだ上機嫌なことに変わりはない。
そんな彼に引っ張られて、倒れ込むベッドの上。クラウドの服に包まれて、クラウド本人にも包まれるという、贅沢……もとい不思議な状況に、私もつい破顔する。
「……。満たされる……」
「…なにが?」
「…所有欲、みたいな」
「わ、私はものじゃありません」
「わかってる。わかってるけど、つい」
「こんなことしなくても……」
「ん?」
「何でもないよ」
悔しいから、本音は今のところ秘密のまま。クラウドから笑顔を取り上げる気にもなれないから、服もしばらく、このまま。
大好きな人の嬉しそうな様子を見つめながら、私は考えていた。幸せは案外、私でも簡単に拾えるのなのかもしれないと。
Lamé
fin,