夜11時。閉店後、

カウンターにて、ふたりきりの晩酌。

 

 

 

 

「…ティファ」

「ん?」

「ティファ」

「なあに」

「……ティファ」

「ふふ、なんですか、酔っ払いさん」

「……」

「…あ。だめだよ、そのまま寝ないでね? 運ぶの大変なんだから」

「……。……うん」

「ほんとにわかってる?」

「……」

「…もう。そんなにニコニコしてもダメだからね」

「……」

「……でも、珍しいね」

「……ん?」

「これくらいの量で、酔っちゃうなんて」

「……。……」

「疲れてたんだよ、きっと」

「……。……今日は、決めてた」

「ん?」

「…家に帰ったら、飲むって……決めてたんだ」

「そうだったの? …ご満足いただけましたか?」

「……うん」

「ふふ、それならよかった」

「……」

「……」

「……。なあ、ティファ……」

「ん?」

「……俺さ……。本当は……」

「…うん」

「本当は……ティファと、話したくて」

「え?」

「酒、じゃなくて……ティファと、ゆっくり……」

「……」

「…ふたりで……。時間……」

「…クラウド」

「…………」

「……。……って、ん?」

「……」

「く、クラウド。寝てるよ?」

「ん……」

「ほら、もうちょっと頑張ろう? ベッドまで」

「……まだ」

「?」

「…まだ、……ティファと……話、足りない……」

「でも……もう、限界って感じだよ?」

「……。不覚だ……」

「ふふ……」

「……」

「…ほら、立てる? 一緒に上いこう」

「……ん」

「よっと……」

「……。……ティファ」

「なあに?」

「……もっと」

「?」

「……もっと、一緒に……いられないかな……」

「……、」

「もっと……、ティファと……時間……」

「……クラウド」

「……」

「……」

「……ん? クラウド?」

「……」

「クラウドったら」

「……」

「……」

「……」

「もう。……自分だけおしゃべりして、満足するんだから」

「……」

「……。……ねえ、クラウド」

「……」

「…私も、もっと一緒にいたいな」

「……、」

「でも、ふたりが思ってるなら、きっと大丈夫だよ」

「……。……」

「……ん? 笑ってる」

「……」

「…クラウド」

「…………」

「……。寝たふりする人は、置いていっちゃおうかなあ」

「! ……だめだ」

「あはは、もう……」

 

 

 

 

グラスに、なみなみ

 

 

(すべてが、口実)

 

 


fin,