心が無防備になる瞬間がある。クラウドと、肌を重ねている最中。
からだと一緒。心地良過ぎて油断して、何も纏わない状態になるの。どこを見られてしまってもいいや、なんて。普段の自分じゃ辿り付けない考えが浮かんで、私を脱力させる。
そんな夜には、言葉が漏れ出す。嬉しいだとか、幸せだとか。気持ちがいい、とか……大好き、だとか。
「…ティファ」
あとはもう眠るだけの時間。私たちがすべきことは、お互いの体温に身を委ね、まぶたを閉じることのみ。
それなのに、クラウドの機嫌はずっとよかった。眠る気ある?って、笑って茶化したくなるほどに。
「……なあ、ティファ」
なあにって。そう、聞き返してほしがっているのはわかってる。だからこそ、思い通りに動くのが悔しかった。クラウドが話したがっていること、何となく察しがついたから。私にとってその話題が、照れくさいものであることも。
「……。なに?」
「…今日のティファ、素直で、かわ」
「は、はい。もうおしまい。おやすみ」
「…まだ何も始まってない」
私に指で唇を塞がれたクラウドが、少し不服そうな顔をする。クラウドは知らないかもしれないけど……私はこの顔に、めっぽう弱い。
「……。…何したら、満足する?」
「…もう一度聞きたい。さっき、言ってくれたこと」
(…ああ、やっぱり)
どうしてこうも、こんなとき。
彼の瞳はキラキラと輝いて見えるのか。
「い、いいよもう……忘れて?」
「いやだ。忘れたくないから、聞きたいんだ」
「……。私が忘れました」
「…嘘だ。俺のこと、大好きなんだろ」
「! お、覚えてるじゃない」
「ティファだって」
「う……でもそれならもう、一人で思い出せるでしょ?」
「…一人で噛み締めたって意味がない。それじゃいつもと同じだ」
「いつも?」
「……。忘れてくれ」
(…あれ?)
どうやら今夜はいつの間にか、クラウドをも無防備にしてくれていたらしい。
自分の頬も赤くなっているのを忘れて、彼の珍しい赤面を見つめる。
クラウドは暫く目を逸らしたり、彷徨わせたりしていたけれど、暫くすると目が合った。それから二人……吹き出すように、笑い合う。
「ふふふ、」
「……」
「今日のクラウド、正直でかわいい」
「……仕返しだな?」
「そんなんじゃないよ」
そう。わかってる。あなたも私に、意地悪したいわけじゃないってことくらい。
クラウドの言うとおり。大好きなの。そんな大切な人のくれる想いを、もっと知りたい、もっと聞きたいって思うことはきっと、おかしなことじゃないから。
ひとまず、今夜。私たちはお互いをくすぐり合いながら、とことん無防備になることにした。ぽろぽろと溢れ出す、飾らない言葉たちは、この夜の中だからこそ特別に、きらきらと輝いていた。
掬って、星屑
fin,