「ティファ好きだ」

 

 人に聞かせたものではない、情けない自身の声が耳に届いたとき、しまったと思った。頭の中で思っていたことが意図せず外に出てしまったからだ。慌ててベッドの隣、一緒に寝転ぶティファを見る。突然何を言い出すんだと思っただろうか。俺が酔っているのかと勘違いしただろうか。羞恥から来る冷や汗を感じながらその様子を伺うと。

 

「え? なんて?」

「………」

 

(……聞こえてない)

 

 きょとんと明るい笑顔のまま俺を見るティファ。わかりやすく照れ屋なティファが気付かないふりができるとは思えないから、恐らく「なんて?」は本物だろう。

 溢れた本音がティファに届いていなかったことに対する安心感と……ほんの少し拍子抜けしたような気持ちを抱えながら「何でもない」と返す。ティファは首を傾げる。

 

「…ほんとに?」

「……本当に」

「でも今、名前呼んだよね」

「…それは聞こえてたのか」

 

 ティファが反対側に首を傾げる。好奇心旺盛なこの目は、きちんと答えを引き出すまで諦めるつもりのない目だ。俺が観念する他、この目を逸らさせることはできない。

 

 弱ったなと笑みをこぼす。つられてティファが笑い声を漏らす。その柔らかい髪を撫でながらどう仕切り直そうかと考えた。一人では抱えてすらいられない、ティファだけに染まるこの声を。

 

 

 

Make my voice so good

 

 

 


fin,