「……ん」

 

先にベッドに横たわったクラウドが、シーツをめくって私を促す。

 

「はい」

 

素直に従ってお隣に潜り込めば、今度は口元が隠れるまで思いきりシーツを被せてくれる。

 

「……」

「? ……ん」

 

クラウドの厚い胸に手を添えて、上目遣いで見つめる。そうすればキスしてくれることを、私は知っているから。

 

「ん……。…ふふ」

「……」

 

思わずこぼれるニヤけ。私のだらしない笑顔を見て、クラウドも口を緩める。おでこにくれるのはかわいい口づけ。行為の後、必ずしてくれるおまじない。

 

「…寒くないか?」

「うん、だいじょうぶ」

「…腕は?」

「ほしい」

「ん」

 

腕か、枕か。この二択を提示されたとき、私は大抵クラウドの腕を選ぶ。そうすればどうしたって、クラウドがこちらを向いて眠ってくれるから。一番そばで彼の寝顔を見つめられる、素晴らしい方法。

 

「……ありがと、クラウド」

「…うん。眠れそうか」

「うん、平気」

「…寝心地がいいとは思えないけど」

「ふふ、いいの。これがいいの」

 

差し出してくれた逞しい二の腕に、そっと自分の頭をのせる。クラウドはそれを確かめてから、当たり前のように体を抱き寄せてくれる。

この瞬間が好き。クラウドに全部全部、包まれてしまうとき。

 

「……おやすみ、ティファ」

「…おやすみなさい」

 

少ない言葉で想いを交わし合って、目と目で気持ちも交差する。

おやすみなさい。おやすみなさい。誰よりもあなたの近くでこの言葉が言える幸せを噛み締め、夢の中まで持っていく。

 

何人たりとも侵せはしない、この真っ白な四角いお城の上で、お互いを守るように抱きしめ合った。他の誰かに寝顔を見せることすら、私たちはそっと、拒否をした。

 

 

孤城

 

 

 

 


fin,