綺麗になったね。そう言われることに、喜びを感じる自分に気がついた。
それを「変化」として驚いたのは、自分が、美しさに大きな魅力を感じてはいなかったのを知っているから。今までそれは役に立つことはあっても、嬉しいという感情には直結しなかった。たくさんの理由があるけれど、やっぱり美しいと思ってもらいたい人がいなかったのが大きな理由だろう。
「…ティファ」
真夜中、灯りもないベッドの上で囁かれる名前。ぶるりと身震いしてしまうほど、心と身体が求めてやまない人。
頬を滑る指が心地よくて、うっとりと彼を見上げる。ねえ、その目に私はどう映ってる? そんな気持ちを込めて首を傾げて見せれば、クラウドは甘くため息をついてくれた。
「……綺麗だよ、ティファ」
(…ああ、)
ぞくぞくぞく。震える身体。ねえ知ってる? 私はその言葉が欲しくて、慣れないことを頑張っているんだよ。素直で貪欲で正直な自分が、両手をあげて喜び、その腕を彼の太い首へと誘うように絡ませる。
はしたない? 恥ずかしい? ベッドの上ならそんなこともどうでもいい。あなたが見ていてくれるなら。あなたを釘付けにできるなら。
「……クラウド」
精一杯甘く囁いてねだる口づけ。吸い込まれるように唇を寄せてくれる大好きな人の顔を、重なる寸前まで見つめる。ふたりが柔らかく交わり合う瞬間、体の奥はじん、と疼く。今自分がクラウドと繋がっていると思うだけで、制御する方法を知らない性の欲が溢れ出す。
甘い甘い彼を舌でうっとりと味わいながら、思う。ああ、私はこうして、この人の手によって磨かれていくのだと。
「……。…ティファ」
「…ん……?」
「…もっと、ティファのことを見たい」
「……うん」
「……触ってもいいか」
「…うん、クラウド」
ひとつずつ、言葉で先に熱をほぐしながら、クラウドは私の下着の紐に指をかける。まるで一枚ずつ、蕾になった花びらを剥いてもらうような感覚。早く触れてほしくて、見てほしくて、身体の全神経がクラウドを待ち、震える。
クラウド。あんなに沢山あった、あなたに隠したい秘密は、もう一つも残っていない。
全部全部、見て欲しい。一つ残らず知って欲しい。白も、黒も、赤色も、あなたは全てに息を呑み、大切に扱ってくれるから。生まれたままの姿も、必死に装飾した姿も全部私なのだと、あなたが認めてくれるから。
だから私、綺麗になるの。ほかの誰のためでもなく、あなたの大事な私のために。
花びらを一枚ずつ丁寧に脱ぎ、体を指でなぞってもらいながら、私は小さくも熱い喜びを噛み締めた。嬉しいことが嬉しいのだと、大切に大切に噛み締めた。
綺麗になったね
fin,