必死に伝票と向き合う彼を「そばにいて」とお仕事机から脇のベッドに移動させる。ベッドの上、あぐらをかいて座ってくれたクラウドの太ももへ、甘えるように頭をのせ見上げると、わざとらしい困ったような顔でため息をつかれる。

 

「…ティファ。邪魔してるのか?」

 

(……邪魔されに来てくれたくせに)

 

素直じゃない問い。そんなつもりはないと、笑顔で首を横に振る。ほんとは困ってないクラウドは再度ため息をついて、あいているほうの太ももに伝票を置き、右手でペンを持ち無理に仕事を続ける。そんな彼の空いている左手に指で触れたら、案の定クラウドはそれを拒否せず優しく絡めてくれた。

 

「……ふふふ」

「……」

 

うんともすんとも言わなくなった彼は、真面目な表情で伝票に向き合いつつ、左手で上手に私を甘やかす。手をなぞり頬に触れ顎を撫でる。さすが指先が器用だと改めて感じるかわいい愛撫。

それを愛情いっぱい受け取りながら、好きな人のベッドの上で好きな人の仕事顔を覗くことができるなんて、なんていう特権だろうか。

 

「……」

「………ん?」

「……ううん」

「…もう少し待っててくれ、すぐ終わる」

「……。終わったら、何してくれるの?」

「……」

 

何度かまばたきをしたクラウドと目が合う。目が合ったと思ったときにはもう、彼は身をかがめ私の無防備な唇に自分のを重ねていた。欲しいのはこれであってる? ゆっくり身を起こしながらクラウドの目が私に問う。大正解だと……とけるような笑顔で私は彼に返事をする。

 

「……早く終わらせる」

「ふふ……我慢できなくなる前に、お願い」

「…どっちが?」

「……私」

「……。我慢できなくなったティファも見てみたい」

「…我慢できなくなったら、お部屋に帰ります」

「それは困る」

 

さっきから一ミリも文字が進んでないの知ってるよ。原因が自分にあるから、なんとも言えないわけだけど。

離さないと言わんばかりに私の手をぎゅっと一握りしてから、クラウドは再度慌てて伝票に向き合う。奇しくもほんとの真剣な表情を拝見できそうな状況に、ひとり頬を緩ませる。

 

大きなその手にキスをして、気持ちがいいところを撫でてもらいながら、私はごろごろと喉を鳴らした。

甘えられる喜びを思い出させてくれた人に、精一杯の愛をこめて。

 

 

 

キッズルーム・ジャスト・フォー・ミー

 

 

 


fin,